朝日新聞2023年6月30日付朝刊の、オピニオン面「耕論」を読んだ。
お題は“「趣味は」と聞かれても”。
三人の論者のうち、高橋秀実のが最高だった。
「無趣味だと相手の話に素直に感心できる」は、まあうなずける話。
それよりは趣味という言葉の成り立ちの話だ。
「趣味」は明治時代の翻訳語で、tasteが元になっているという。hobbyというガッツリ取り組む活動よりは、味覚に近いものじゃないかと。
たとえば、釣りが趣味の人は「釣り」を楽しんでいるのではなく、「釣れない状態」を味わっている。だって次々と釣れたら、それは漁業でしょ。習い事だって「できない」ということを味わう。できたら終わりですからね。対象より、どう味わうか。味わい方が趣味なんです。
あー夫のツボに入りそうな考え。と思ったら、やっぱり食いついてきて、大変に感心していた。夫の趣味もまさに釣りだ。
翻って私の趣味ってなんだろうか。本を読むのは好きってだけで、趣味とは違う感じもする。「読めない状態を味わう」とかないからなあ……。
強いていえば子育てか?「子供が思うようにならない状態を味わう」。これならぴったりかも。