2023年10月13日

サトクダマキモドキ

 

president.jp

↑この記事に触発されて読んだ本↓。

モデルは斉藤澄子

彼女の出身地、岩手は馬文化の濃い地域だ。実家や近所もその辺に馬がいる生活、才さえあれば馬扱いに長けるようになるのも当たり前の環境だった。嫁にいくより何より彼女が望んだのは馬の仕事をすること。それも競馬の世界に魅了される。ところが当時の競馬は男の世界。ツテを頼って熱意をアピールしてなんとか潜り込んだものの、男になりきって生活することを余儀なくされる。血の滲むような努力と我慢を積み重ね紆余曲折を経て、とうとう騎手デビューを果たそうかというところ、上の方からのお達しで暗転。おまけに男子のみに限るというルールが盛り込まれ、騎手としての夢を永久に断たれてしまう。

彼女の絶望は如何許りだったろうか?

その後も厩務員として馬に関わる仕事を続けるが、肺病を患い30手前という若さでこの世を去っている。

本当にせめて、一度だけでもレースに出られていたら。

今の世も、自分の意思だけではどうにもならないことがあるけれど、当時はもっと、ままならないことが多かったのだろうなと。豊かな才と意思をもちながら、志なかばで夢断たれた女の無念。それを存分に感じ取ることができた。